2017/07/17

【映画】原作かじった人向け実写化/銀魂


 70点


 大前提として、私はジャンプの中で「銀魂」しかまともに読んだことがないっていう感じの原作ファンでございます。今はもう追っかけてないけど。友達からなんとなく展開を聞いてる。もうそろそろ原作は終わっちゃうのかしら。

 自分はマンガ・アニメと実写化作品はまるっきり別モノと思ってるので、「原作が汚される!」みたいな過激派ではない。でも、銀魂が実写映画化すると聞いて、結構びっくりしたし、これは“ヤバイ案件”だと思った。ヤバイっていうのは、コケそうっていう意味ね。

 でも、結果的にとてもおもしろかったです。よかったよかった! でもでも、それは原作のノリを知ってたからおもしろかったってのが正直なところである。土地柄、ヤンキーチックな人がチラホラいるシネコンで見たんだけど、隣に座ってたメンズはエンドロール終わったあと「2時間寝てた」つってた。3人で来てたから、多分連れてこられたんだろう。

 原作と同じようにパロディも入れまくりだったし、役者の顔芸やセリフ回しも笑いどころ満載だった。見た目の再現度もそれなりに高かったし、原作リスペクトも感じられた。あんまり言うとネタバレになるけど、紅桜篇といえば、「かわいくねえ女」「バカな人」、そして「ラーメンこぼして捨てた」だからね。多分、あのシーン原作のコマ割りと同じカットだったんじゃないかな。

 あと、高杉にギャグさせなかったのもポイント高いっすね。まあもうこれは当たり前だけど。でもさ、わけわかんない改変入れる実写化ってよくあるじゃないっすか。それがなくても“福田臭”が出てたのはさすがだな~と思ったね。若干しつこいところもあったけどな!!!

 ただ、この辺のおもしろさが原作を知らない人にどのくらい伝わってんのかはナゾすぎる。そもそも設定というか、銀時・桂・高杉の関係性とか、万事屋のこととか、初見の人にあの程度の説明で感情移入するのは無理があると思うんだよね。ジャンプネタぶっこみまくってる時点で、ある程度原作知ってる人向けっていう風に割り切ってるのかもしれないけども。

 あと、銀魂ってギャグマンガではあるんだけど、結構説教臭いセリフが多い作品でもあるじゃないっすか。それを実写化でもやっちゃってたから、「う~ん、クサいな」みたいな、ちょっとしたサムさみたいなのも若干感じた。銀さんがもうちょっと堕落した大人であることが描かれてれば、ギャップがあってよかった気もするんだけど、そういうわけでもなかったし。ちゃんとした人に説教されるとウザいじゃん。ちょっとそうなりそうだったのは、銀魂らしくなかったな~。

 そして、これは言わねばと思うけど、剛が最高すぎる。かねてより“剛派”だった私だけど(もちろん2人とも好きだよ)、やっぱり剛は最高だわ!!!!! 彼の演技を見るのはいつぶりだかわからないくらい久々だったんだけど、こんなに高杉が似合うと思わなかった。あと、まさに“目の色が変わる”っていう瞬間があって、そこは非常にゾクゾクしました。剛ってめっちゃ演技派だったんだなと再確認。

 とはいえ、CGのちゃちさとかセットの安っぽさとかはもういつもの邦画クオリティって感じ。ギャグパートでは目をつぶれるけど、シリアスな場面ではやっぱちょっと頭抱えちゃうよね。定春はもうちょっとなんとかならんかったんかい。

 ちょっとでも原作をかじった人はとても楽しめるし、そうでない場合はあんまり期待しない方がいいかなっていうところですかね。よく言えば、万人が肩の力を抜いて見られる、大衆向けエンタメ映画ってところでしょうか。

 あ、酒井ちゃんの出番一瞬だったね!!!!!!!!!!


2017/07/02

【映画】“家族”という呪い/葛城事件


80点

邦画が超豊作だった2016年。ウソみたいに賞レースに名前が上がらなかったけど、どう考えても傑作だった。知らないなんてもったいなさすぎる。

 無差別殺人事件を起こした男の家族の話。要するに、加害者側の話。この家族が特別狂った人間の集まりでもないし、特別貧乏だったり特別生活に困ってるわけでもないのが一番怖いかも。いるんだもんこういう人たち。葛城家だけじゃなく、出る人全員リアルだったのがすごい。

 「家族という地獄」っつうキャッチコピーがついてるんだけど、まさにそれ。家族はね、ある種の呪いだと思ってますよあたしゃ。生まれて死ぬまで逃れられない呪い。

 葛城家の父親は、とにかく自分が一番。自分の意見を曲げないし、掲げた理想になんとしてでも近付きたい。一家の主は家を持たなきゃいけないし、自分が育てた子供は大学を卒業しなきゃいけない。そんな理想があるのに、自分は父親から継いだ金物屋の店主(しかも客なんて来ない)っていう、どうにもチグハグな人間なんだよね、葛城家の父親は。

 でも態度は横柄だし暴力的だから、家族は自分の気持ちを押し殺して、父親に従って生きなきゃいけない。そんな父親にほぼ唯一抵抗してたのが、無差別殺人を犯した次男だったっつうわけ。

 さっくりネタバレをすると、長男が自殺するんですよ。で、葬儀の時に次男が「だせえ死にかた」って言うのね、兄の骨に向って。そんでそのあと、次男は無差別殺人を犯して死刑囚になる。異例の速さで死刑執行されて、兄弟そろってこの世からいなくなる。多分、弟はあの世で兄に向って、人殺ししたことを自慢してんだろうな。

 全体を通して、「食」の描き方がすばらしかった。基本的に葛城家の食卓はコンビニ弁当なんだよね。ちょっと単純すぎるけど、これだけであまりいい家庭じゃないってわかる、食のチカラよ。で、長男の結婚祝いにいい感じの中華料理屋に行く、唯一良い食事をしているシーンがあるんだけど、そこで父親が店にクレームを入れるんだよね。なにごともなければ穏やかな食事のシーンになるはずが、父親のせいでそれが邪魔される。

 あと、父親から逃れようとして母親と次男が家から飛び出し、部屋を借りて2人で住まおうとするのよ。で、長男がその部屋を見つけて、父親に教えんのね。長男は「今からお父さんが来るから逃げたほうがいい」つって2人を逃がそうとするんだけど、そこで母親はなにを思ったか「最後の晩餐ではなにを食べたい?」って聞く。母親はちらし寿司って言ったかな。そのとき、母親と次男はコンビニで買ったナポリタンを食べてた。

 そんで最後、家に一人残された父親は、カレーうどんを食べてる。次男と獄中結婚した女が次男の死刑が執行されたことを父親に報告しにくるんだけど、ずっとズルズル麺をすすってる。で、父親は女にセックスを求めるんだけど、もちろん逃げられて、もうこっから自暴自棄になっちゃう。家の中をしっちゃかめっちゃかにして、首を吊ろうとする。そして見事に失敗して、やっぱり生き残ってしまうのよ。ダサいよ本当に。この父親に自殺は出来ないでしょう絶対に。で、そのあと家に戻って、おもむろにまたカレーうどんをすするの。すごいでしょ。これだけで父親がどんな人間かわかっちゃう。

 小説はよく「食事のシーンをうまく書く人は官能シーンがうまい」って言うけど、映像でも絶対そう。赤堀監督は食と生と性が確実につながってるってことをめちゃくちゃうまく描く人だと思う。


 もし葛城事件が気に入ったら、赤堀監督の前作・その夜の侍も見てほしい。食と生と性、というキーワードを頭に入れながら見ると、ラストシーンで「うわ~~~~~」って言う。私は言った。


【映画】 チート主人公の夢物語/ラ・ラ・ランド


55点


 期待を持たせると悪いから先に言うけど、私は残念ながら絶賛できなかった。遠慮せずに言うと、ストーリーがない。ミュージカル映画だからいいといわれりゃそれまでなんだけど、テーマのわりにちょっと都合が良すぎる。

 なにが都合いいかって、「夢を叶える物語」のくせに、セブは昔なじみの男にちょうどよく声をかけられてちょうどよくキーボードのポジションを得て、金を稼いで店を開いちゃう。ミアはオーディションに落ちまくってたし舞台も酷評されてたはずなのに、ちょうどよくこの舞台を見てたっていう関係者から連絡が来て、オーディションに受かって、その映画がきっかけで大物女優になっちゃう。あんなに苦労してた(はず)のに、2人とも5年の月日でケロッと夢叶えちゃう。当人の努力じゃなくて、周りが導いてくれた結果じゃあ「夢物語」として成り立ってないと思うんだけど。

 そして一番都合のいい展開なのは、ことあるごとにセブとミアが出会っちゃうことね。もうね、いっそ笑っちゃう。パンくわえながら走ってたら曲がり角で可愛い女の子とぶつかって恋に落ちるっていうアレと同じレベルだぞこんなの。

 こんなにボロクソ言っちゃうのも、私がめちゃくちゃに現実主義で、ストーリーにどうしても目が行っちゃう人間だからなんですわ。だから、多分だいたいの人はとても楽しめると思う。けど、私みたいにクソ現実主義で斜に構えた人間は正直ハマれないと思う。残念だったな、私たち(肩を組む)。

 あとね、まだ言うけどね、CGがめちゃくちゃダサい。プラネタリウムのシーンどうした??? あれは笑うとこでいいんだよな????? 音楽と映像だけで魅せようとするんだったら、もうちょっと頑張らなきゃいけなかったでしょ~……とガッカリしてしまった。しかもやっとキスできたシーンだったのにさあ、大切なシーンだったじゃん……なんでや……。

 まだまだ言いたいことはあるけど、これから見に行く人はあんまり期待しない方がいいぞということと、アカデミー賞取らなくてよかったということだけは言っとく。

 ここまで酷評しといてなんだけど、おもしろくなかったっつうわけでもない。特に最後の展開は華麗すぎて、というか最後の15分くらいがこの映画の本編と言っても過言ではないくらい華麗だった。散々現実じゃねえと言ってきたけど、最後の展開だけはめちゃくちゃに現実。「あ~あそこでああしてりゃよかったな~」とか思いつつ、お互いもう別の人生を歩んでて、もう交われない存在になってる。そんで、まるで拳を突き合わせるかのように2人が視線を合わせて、また自分の道に戻んのよ。このときのエマ・ストーンの表情がカッコよかったわ~。エマ・ストーンに恋する映画でしたね。

 でもこの手のやり方ってチャゼル監督の前作セッションでも同じなんだよね。中盤はダルいんだけど、最後に超特急展開で巻き返して「良い映画だったでしょ?」みたいな。見終わった直後は勢いで「良い映画だった!」って言っちゃうんだけど、あとあと考えると「そうでもなかったな」となる。セッションだってもうあんま話覚えてないもんな自分……。

 画面がずっとかわいいのはよかった。女性も男性も衣装がかわいいし、画面の彩度が高くてハッとさせられる。音楽も楽しいけど、視覚が楽しいのが個人的にはよかったなあ、うん。

 本当の映画通の方ならいろんなオマージュを探しながら楽しめるんだろうが、私はそこまで映画を知らんのでそこの評価はできません、ごめんなチャゼル。

 
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