2017/08/31

突然ですが、NYに行ってきます【準備編】

 自分用の記録も兼ねてNY日誌を書くぞ! 押忍!

■動機
 誰しもが憧れる街NY……って感じだけど、正直私はそこまでNYに対して夢を抱いていたわけではない。映画『THE BIG SHORT』を見るまでは。
2015年に日本で公開されて、何度も映画館に足を運び、原作本まで読み、サントラをDLし、個人輸入までしてBlu-rayを買い、日本語版Blu-rayも買い、もうNYに行きたくて仕方くなくなってしまった。
 今はウォール街から多くの銀行が撤退してしまっていることは知っているんだけども、あの牛を見ないと死ねない気持ちになってしまったのだ。
 でもきっかけ、というか決心がつかなくて、ちょっと気持ちが薄れてきたころに、今度は映画『メットガラ』を見た。

 これを見たときも「いつか行こう」と思って、メトロポリタン美術館について出来心で調べてみた。そしたら、なんと今年はあの川久保玲の展示が行われていた。
http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2017/rei-kawakubo
 9月4日まで。これは行くっきゃない。ここでようやく決心が固まった。

■飛行機&ホテル
 ネットでいろいろ調べてたけど、いろいろありすぎて調べあるのがめんどくさくなり(よくある)、近所のJTBに行くことに。お姉さんに相談に乗っていただいた結果、
・成田出発の直行便、時間は選べない
・CとBランクの間ぐらいのホテル(お姉さんいわく「東横イン」レベル)
・空港に着いたら日本人添乗員が送迎してくれる(オプション)
 という条件で申し込みをした。しかし、1カ月前の予約&格安プラン(らしい)ということで、私はキャンセル待ちに回されることになった。
 待っているのがわりと苦手な私は、結局ネットでいろいろ調べ、ホテルと飛行機を自分で予約して行くことに決定。
・乗り継ぎありだけど16時間くらいで着く羽田出発
クソほどオシャレなホテル
・交通は全部自分で手配(空港からマンハッタンまで安いバスが出てる)
 この条件で、JTBで予約した金額とほぼ同じ。というか、むしろ滞在日数を1日増やしたので安くなった。
 ホテルを探す時は「Hotels Combined」で探した。多分どこのサイトよりも出てくるホテルの量が多い。ちょっと不安になる安宿みたいなのも出てくるから、とにかく費用を抑えたい時なんかは特に便利かと。

 ちなみに、自分で手配したあとに「キャンセルが出ました」と連絡があった。人生すべてはタイミングである。

■パスポート&カード
 高校時代に5年パスポートを作ったっきりだったので、当然有効期限が切れている。新しく10年パスポートを取得するために、新宿のパスポートセンターで申請。案外時間はかからず発行してもらえるし、受け取りだけなら日曜日にできる。
 申請も受け取りも窓口が空いてからすぐに行ったからか、ほぼ待つことなくスムーズにすべて完了した。なんか新しいパスポートには“ICチップ”なるものが入っていた。これでめでたく赤いパスポートをゲット。

 海外旅行で絶対必要なのが、クレジットカード。アメリカは特にカード社会らしく、ホテルでもチェックインのときに提示を求められる。カードを持ってるか否かが、むこうでは“信用”のものさしにもなるっつうことらしい。
 実はこれまで生きててカードを作ったことがなかった私は、この歳にしてついにクレジットカードを作った。便利だけど簡単に買い物ができるのはちょっと怖い。できれば使いたくない。

■ESTA
 アメリカに行く時に必要なのが、「ESTA」というビザ。パスポートの情報を入れる必要があるので、手元に準備できてから申請を行う。
 JTBに行った時に「アメリカに行く時はESTAが必要」だと初めて聞いて、「少しでも回答を間違えるとしばらく海外にいけなくなる」と脅された。いくらかお金を払うとJTBの人が代行して申請してくれると言っていたけど、実際やってみるとそこまでビビることでもなかった。
 なお、JTBみたいに「ESTAは大変だぞ!」と言って高い金払えば代行してくれるサイトが結構あるみたいだけど、正規で申請できるのはここだけ。ここで申請すれば14ドルで済む。

 ……と言っておきながら、私は28ドル払いました! ガハハ!!!
 出発前に余裕を持ってESTAの申請を済ませ、「72時間以内には結果を知らせるよ」みたいな表示が出たので、大人しく待ってた。で、約束の72時間後に「既存の申請内容を確認」ってとこから結果を見たら、なぜか「あんたのデータないよ」みたいな表示が出た。
 漏らしそうになりながら原因を調べたら、申請画面の入力に時間をかけすぎると結構な確率で弾かれるらしい。確かに、私が申請してたとき、途中で「あんたやたら時間かかってるけど、まだやんの?」みたいなポップアップが出てた。これが出たらもうダメだと思った方が良さそう。

 ESTAは簡単に言うと、パスポート情報(名前、パスポート番号、取得日、有効期限など)、現住所、宿泊する場所(ホテル名、住所など)、緊急連絡先の電話番号とメールアドレス、会社の名前と住所をすべて英語で記入するのと、「感染症にかかってない?」「犯罪者じゃない?」みたいな質問に「はい」「いいえ」で答えるって感じ。
 私のようにムダ金を払わなくても済むように、上記の項目をスラスラ入力できる準備をしてからESTAの申請にとりかかることをおすすめします。俺の屍を越えてゆけ。

 あ、ちなみに、「あんたのデータないよ」と表示された後にもう一度新規で申請して(するしかない)、最初やったときと同じように「72時間以内には結果を知らせるよ」っていう表示が出たんだけど、その後5分くらい経ってから確認してみたら、もう承認されてた。この時点で申請がおりない場合は、とりあえず24時間くらい待って、それでもダメだったら潔く再度申請したほうがいいと思う。14ドルのために飛行機代とかホテル代とかムダになるって可能性もあるからね……!

■持ち物
 4泊6日の旅なのだが、私はバックパックで行くことを最初から決めていた。乗り継ぎの関係でなるべく荷物を自分で持っていたかったのと、ロストバゲッジされる可能性がなきにしもあらずな航空会社だったってこと。でも1番は、あんなデカいスーツケースに入れて行くものがない……ってことで、実家に帰るが如く、バックパックでNYに行ってやることにしました。俺たちの森田剛はスーパーの袋で海外に行くんだから、これでも荷物が多い方でしょ。
 で、飛行機には機内に持ち込めるものと、スーツケースに入れて預けなければ持って行けないものがある。私は荷物のすべてを機内持ち込み仕様にしなければならなかったので随分と規制されるかとちょっとビビってた。でも実際には、「水分を含むものは20×20サイズの透明の袋に入れてくれよな!」ってくらいで、個人的には苦労しなかった。

 世の中便利なもんで、100円ショップ「Seria」にはこんなものが売ってる。

実際に入れてみるとこんな感じ。

さすがに、いつも使ってる化粧水・乳液はトラベル用の小さい容器に入れ替えたけど、それ以外はそのまま突っ込んでも余裕。20×20は結構入るってことを学習したのであった。
 で、行きはいいとしても問題は帰り。お土産等々買って荷物が増えることを考えると、持って行くものは現地でザカザカ減らしたい。ということで、下着は捨てられる古いものを持って行き、洋服も最低限&圧縮袋。歯ブラシとかアイマスクとか、そこまで容量を取らなそうなものも、とにかく“捨てられるもの”を持って行くことにした。

この小分け袋と水物袋はほぼ現地に捨てて帰ってくるつもりでございます。
 シャンプー・リンス・ボディーソープ、タオル、バスローブなんかは全部ホテルにあるので、私の場合もともと荷物には入りませんのであしからず。

 あとは、
・パスポートのコピー
・ESTAの証明書
・飛行機、ホテルの領収書
 を何枚か印刷して持って行くことにした。特にパスポートのコピーとESTAの証明書は必要かと。スマホがあればいいんだろうけど、やっぱ紙を持ち歩くのが安心する……。

 どこに行っても持ち歩くだろう各種充電器や、カメラなんかも持って行きます。あと、忘れちゃ行けないのがWi-fi。私はここでレンタルしました。空港で受け取る感じ。必要最低限必要なのはこんなもんか。あ、あとサングラス! 日差しが強いんだってさ!

 とりあえず、バタバタながらも準備はこんなもんか……。もし万が一なんか忘れてることがあったら教えて。まだもうちょい日本にいるから!

 いや〜それにしても大変。楽しみだけど大変! でもなによりも楽しみ! 帰ってきてから旅行中のことは記録していくので、更新がなかったら向こうに骨を埋めてきたと思ってください。

2017/07/28

オタク楽しい、オタク界隈めんどくさい

 マインドがオタクなもんで、「オタクを卒業する」という定義がそもそも自分には存在しないんだけど、卒業したいなっていうか、オタク界隈がめんどくさすぎてやめてえな、みたいなことはよくある。今もそうだったりする。自分はそういう時、対象をキライになる前に逃げる。あれよ、「逃げるは恥だが役に立つ」よ。見てなかったけどなドラマ。あと別に、逃げるは恥じゃねえけどな。

 本格的に金と時間を費やしてオタクするようになったのは、やっぱり社会人になってからなんだけど、コスプレとか同人とか海外俳優とか女子アイドルとか、長短はあれどいろんな界隈に足をつっこんできたけど、ぶっちゃけ今いるジャニーズ界隈が1番めんどくせえんですよね。

 「ジャニオタめんどくせえ」が加速したのは確実に去年。そうですSMAPの解散ですよ。あのころからなんかこう、オタクの“内紛”みたいなのが目につくようになってしまったんだよね。オタクとオタクの言い合いほど、意味をなさない戦いはないよまったく。

 あのね、ちょっと前にTwitter辞めたんですけど。まあアカウント消してないんで、完全に辞めたわけじゃないんですけど。noteには「別になにもなかった」つってたけど、まあ別になんもなかったっちゃなかったんだけど、実は今も引っかかってるめんどくさいこともあった。

 まだ私が通知をちゃんと受け取っていたころ(笑)、「Jr.でちゃんとやってない人がいるって先輩が雑誌で言ってたよ」みたいなツイートをしたことがあったんですけど、それにやたらと引用(?)がついてさ……なにあれ? クソめんどくさくない? 「知らんがな」っていうコメントがつくだけならまだいいけど、「○○のことだわw」みたいな根性の悪いコメントがくっついてくんのよ。私はその時“愚痴垢”の存在を知ったんだけど。匿名でしかもオープンな場所で悪口書きまくってるジャニオタって、相当根性腐ってんなってその時すっごく思ったんだよね。もちろん今でも思ってるよ。

 でもこういう人たちってどの界隈にも一定数いて、アニメ界隈にはアニメの悪口ばっかり言ってる人がいて、俳優界隈には俳優の悪口ばっかり言ってる人がいるのよ。すごくない? みんなアニメに親でも殺されたの?

 そういうのはまあ見なきゃいいだけの話なんで、違う世界で勝手にどうぞって感じで今はどうでもいいですけど、その時は結構なカルチャーショックというか、「歪んだオタクってこんなにいるのか」と思ったよ。心底関わりたくねえなと。

 あとはさ〜最近よくあるけど、平気でウソつくじゃん。怖くない? 実生活どう生きてんの君たち? 友達いないでしょ? あとね〜、度々開かれる“学級会”も大嫌いですね。超日本人っぽいよね。なんでお前らそんなに学級委員長になりたがるん?

 「じゃあお前はジャニオタに親殺されたんか」って感じだけど、別に全員が全員イヤってわけじゃあるまいよ。ただ、今挙げ列ねた人たちって、とにかく声がでけえのよ。窓閉めてても外から声が聞こえてくんの。こっちはクーラーきいた部屋で楽しくテレビ見てんのにさ。それがイヤだから、誰もいない土地に引っ越してのびのびしたいな〜って思って、私はTwitterを辞めました。仕事柄、窓開けて身を乗り出さなきゃいけないこともあって、それがしんどい時もあるんだけど、プライベートでは二重窓バッチリなんで、そりゃまあ快適になったよ。

 なんかなあ、今まで通ってきた界隈はもうちょっと明るかったけどなあ。なんかこう、ジャニーズ界隈は一歩踏み入れただけで陰気だよね。不思議だわ。ちなみに、今んとこ1番居心地がいい界隈は、2次元美少女界隈だよ。変態紳士は自分の嫁しか見てないからな。他人のことなんて興味関心ないんだよな。悪口言ってるヒマあったら、嫁を愛でるっつうの。

 あと、この界隈は“実力者”がはっきりしてるってのもいいところ。絶対的存在として萌えを提供してくれるイラストレーターがいるから、ポッと出てきたオタクが出しゃばることがない。だからわけわかんねー学級会も開催されないし、マウンティング取ろうとする自意識オタクも少ない。多分、1番の違いはここだな。は〜、コミケ3日目が楽しみ。

 とにかく、知らん人の言ってること・やってることなんか自分にはどうでもいいことばっかりだし、そんなことに気を揉んでる時間は本当にもったいないと思うんで、しんどい人はきっぱり距離を置いた方がいい。他人に改善を求めるなんてムダなことせず、自分がその場から消えるのが1番手っ取り早いですよ。

 自由なオタクライフを生きるために、あたしゃ“孤高のオタク”を目指すわ。さらば!

2017/07/17

【映画】原作かじった人向け実写化/銀魂


 70点


 大前提として、私はジャンプの中で「銀魂」しかまともに読んだことがないっていう感じの原作ファンでございます。今はもう追っかけてないけど。友達からなんとなく展開を聞いてる。もうそろそろ原作は終わっちゃうのかしら。

 自分はマンガ・アニメと実写化作品はまるっきり別モノと思ってるので、「原作が汚される!」みたいな過激派ではない。でも、銀魂が実写映画化すると聞いて、結構びっくりしたし、これは“ヤバイ案件”だと思った。ヤバイっていうのは、コケそうっていう意味ね。

 でも、結果的にとてもおもしろかったです。よかったよかった! でもでも、それは原作のノリを知ってたからおもしろかったってのが正直なところである。土地柄、ヤンキーチックな人がチラホラいるシネコンで見たんだけど、隣に座ってたメンズはエンドロール終わったあと「2時間寝てた」つってた。3人で来てたから、多分連れてこられたんだろう。

 原作と同じようにパロディも入れまくりだったし、役者の顔芸やセリフ回しも笑いどころ満載だった。見た目の再現度もそれなりに高かったし、原作リスペクトも感じられた。あんまり言うとネタバレになるけど、紅桜篇といえば、「かわいくねえ女」「バカな人」、そして「ラーメンこぼして捨てた」だからね。多分、あのシーン原作のコマ割りと同じカットだったんじゃないかな。

 あと、高杉にギャグさせなかったのもポイント高いっすね。まあもうこれは当たり前だけど。でもさ、わけわかんない改変入れる実写化ってよくあるじゃないっすか。それがなくても“福田臭”が出てたのはさすがだな~と思ったね。若干しつこいところもあったけどな!!!

 ただ、この辺のおもしろさが原作を知らない人にどのくらい伝わってんのかはナゾすぎる。そもそも設定というか、銀時・桂・高杉の関係性とか、万事屋のこととか、初見の人にあの程度の説明で感情移入するのは無理があると思うんだよね。ジャンプネタぶっこみまくってる時点で、ある程度原作知ってる人向けっていう風に割り切ってるのかもしれないけども。

 あと、銀魂ってギャグマンガではあるんだけど、結構説教臭いセリフが多い作品でもあるじゃないっすか。それを実写化でもやっちゃってたから、「う~ん、クサいな」みたいな、ちょっとしたサムさみたいなのも若干感じた。銀さんがもうちょっと堕落した大人であることが描かれてれば、ギャップがあってよかった気もするんだけど、そういうわけでもなかったし。ちゃんとした人に説教されるとウザいじゃん。ちょっとそうなりそうだったのは、銀魂らしくなかったな~。

 そして、これは言わねばと思うけど、剛が最高すぎる。かねてより“剛派”だった私だけど(もちろん2人とも好きだよ)、やっぱり剛は最高だわ!!!!! 彼の演技を見るのはいつぶりだかわからないくらい久々だったんだけど、こんなに高杉が似合うと思わなかった。あと、まさに“目の色が変わる”っていう瞬間があって、そこは非常にゾクゾクしました。剛ってめっちゃ演技派だったんだなと再確認。

 とはいえ、CGのちゃちさとかセットの安っぽさとかはもういつもの邦画クオリティって感じ。ギャグパートでは目をつぶれるけど、シリアスな場面ではやっぱちょっと頭抱えちゃうよね。定春はもうちょっとなんとかならんかったんかい。

 ちょっとでも原作をかじった人はとても楽しめるし、そうでない場合はあんまり期待しない方がいいかなっていうところですかね。よく言えば、万人が肩の力を抜いて見られる、大衆向けエンタメ映画ってところでしょうか。

 あ、酒井ちゃんの出番一瞬だったね!!!!!!!!!!


2017/07/02

【映画】“家族”という呪い/葛城事件


80点

邦画が超豊作だった2016年。ウソみたいに賞レースに名前が上がらなかったけど、どう考えても傑作だった。知らないなんてもったいなさすぎる。

 無差別殺人事件を起こした男の家族の話。要するに、加害者側の話。この家族が特別狂った人間の集まりでもないし、特別貧乏だったり特別生活に困ってるわけでもないのが一番怖いかも。いるんだもんこういう人たち。葛城家だけじゃなく、出る人全員リアルだったのがすごい。

 「家族という地獄」っつうキャッチコピーがついてるんだけど、まさにそれ。家族はね、ある種の呪いだと思ってますよあたしゃ。生まれて死ぬまで逃れられない呪い。

 葛城家の父親は、とにかく自分が一番。自分の意見を曲げないし、掲げた理想になんとしてでも近付きたい。一家の主は家を持たなきゃいけないし、自分が育てた子供は大学を卒業しなきゃいけない。そんな理想があるのに、自分は父親から継いだ金物屋の店主(しかも客なんて来ない)っていう、どうにもチグハグな人間なんだよね、葛城家の父親は。

 でも態度は横柄だし暴力的だから、家族は自分の気持ちを押し殺して、父親に従って生きなきゃいけない。そんな父親にほぼ唯一抵抗してたのが、無差別殺人を犯した次男だったっつうわけ。

 さっくりネタバレをすると、長男が自殺するんですよ。で、葬儀の時に次男が「だせえ死にかた」って言うのね、兄の骨に向って。そんでそのあと、次男は無差別殺人を犯して死刑囚になる。異例の速さで死刑執行されて、兄弟そろってこの世からいなくなる。多分、弟はあの世で兄に向って、人殺ししたことを自慢してんだろうな。

 全体を通して、「食」の描き方がすばらしかった。基本的に葛城家の食卓はコンビニ弁当なんだよね。ちょっと単純すぎるけど、これだけであまりいい家庭じゃないってわかる、食のチカラよ。で、長男の結婚祝いにいい感じの中華料理屋に行く、唯一良い食事をしているシーンがあるんだけど、そこで父親が店にクレームを入れるんだよね。なにごともなければ穏やかな食事のシーンになるはずが、父親のせいでそれが邪魔される。

 あと、父親から逃れようとして母親と次男が家から飛び出し、部屋を借りて2人で住まおうとするのよ。で、長男がその部屋を見つけて、父親に教えんのね。長男は「今からお父さんが来るから逃げたほうがいい」つって2人を逃がそうとするんだけど、そこで母親はなにを思ったか「最後の晩餐ではなにを食べたい?」って聞く。母親はちらし寿司って言ったかな。そのとき、母親と次男はコンビニで買ったナポリタンを食べてた。

 そんで最後、家に一人残された父親は、カレーうどんを食べてる。次男と獄中結婚した女が次男の死刑が執行されたことを父親に報告しにくるんだけど、ずっとズルズル麺をすすってる。で、父親は女にセックスを求めるんだけど、もちろん逃げられて、もうこっから自暴自棄になっちゃう。家の中をしっちゃかめっちゃかにして、首を吊ろうとする。そして見事に失敗して、やっぱり生き残ってしまうのよ。ダサいよ本当に。この父親に自殺は出来ないでしょう絶対に。で、そのあと家に戻って、おもむろにまたカレーうどんをすするの。すごいでしょ。これだけで父親がどんな人間かわかっちゃう。

 小説はよく「食事のシーンをうまく書く人は官能シーンがうまい」って言うけど、映像でも絶対そう。赤堀監督は食と生と性が確実につながってるってことをめちゃくちゃうまく描く人だと思う。


 もし葛城事件が気に入ったら、赤堀監督の前作・その夜の侍も見てほしい。食と生と性、というキーワードを頭に入れながら見ると、ラストシーンで「うわ~~~~~」って言う。私は言った。


【映画】 チート主人公の夢物語/ラ・ラ・ランド


55点


 期待を持たせると悪いから先に言うけど、私は残念ながら絶賛できなかった。遠慮せずに言うと、ストーリーがない。ミュージカル映画だからいいといわれりゃそれまでなんだけど、テーマのわりにちょっと都合が良すぎる。

 なにが都合いいかって、「夢を叶える物語」のくせに、セブは昔なじみの男にちょうどよく声をかけられてちょうどよくキーボードのポジションを得て、金を稼いで店を開いちゃう。ミアはオーディションに落ちまくってたし舞台も酷評されてたはずなのに、ちょうどよくこの舞台を見てたっていう関係者から連絡が来て、オーディションに受かって、その映画がきっかけで大物女優になっちゃう。あんなに苦労してた(はず)のに、2人とも5年の月日でケロッと夢叶えちゃう。当人の努力じゃなくて、周りが導いてくれた結果じゃあ「夢物語」として成り立ってないと思うんだけど。

 そして一番都合のいい展開なのは、ことあるごとにセブとミアが出会っちゃうことね。もうね、いっそ笑っちゃう。パンくわえながら走ってたら曲がり角で可愛い女の子とぶつかって恋に落ちるっていうアレと同じレベルだぞこんなの。

 こんなにボロクソ言っちゃうのも、私がめちゃくちゃに現実主義で、ストーリーにどうしても目が行っちゃう人間だからなんですわ。だから、多分だいたいの人はとても楽しめると思う。けど、私みたいにクソ現実主義で斜に構えた人間は正直ハマれないと思う。残念だったな、私たち(肩を組む)。

 あとね、まだ言うけどね、CGがめちゃくちゃダサい。プラネタリウムのシーンどうした??? あれは笑うとこでいいんだよな????? 音楽と映像だけで魅せようとするんだったら、もうちょっと頑張らなきゃいけなかったでしょ~……とガッカリしてしまった。しかもやっとキスできたシーンだったのにさあ、大切なシーンだったじゃん……なんでや……。

 まだまだ言いたいことはあるけど、これから見に行く人はあんまり期待しない方がいいぞということと、アカデミー賞取らなくてよかったということだけは言っとく。

 ここまで酷評しといてなんだけど、おもしろくなかったっつうわけでもない。特に最後の展開は華麗すぎて、というか最後の15分くらいがこの映画の本編と言っても過言ではないくらい華麗だった。散々現実じゃねえと言ってきたけど、最後の展開だけはめちゃくちゃに現実。「あ~あそこでああしてりゃよかったな~」とか思いつつ、お互いもう別の人生を歩んでて、もう交われない存在になってる。そんで、まるで拳を突き合わせるかのように2人が視線を合わせて、また自分の道に戻んのよ。このときのエマ・ストーンの表情がカッコよかったわ~。エマ・ストーンに恋する映画でしたね。

 でもこの手のやり方ってチャゼル監督の前作セッションでも同じなんだよね。中盤はダルいんだけど、最後に超特急展開で巻き返して「良い映画だったでしょ?」みたいな。見終わった直後は勢いで「良い映画だった!」って言っちゃうんだけど、あとあと考えると「そうでもなかったな」となる。セッションだってもうあんま話覚えてないもんな自分……。

 画面がずっとかわいいのはよかった。女性も男性も衣装がかわいいし、画面の彩度が高くてハッとさせられる。音楽も楽しいけど、視覚が楽しいのが個人的にはよかったなあ、うん。

 本当の映画通の方ならいろんなオマージュを探しながら楽しめるんだろうが、私はそこまで映画を知らんのでそこの評価はできません、ごめんなチャゼル。

 
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